無知蒙昧

読みたい本をすきなだけ

失踪症候群/貫井徳郎 を読みました

私事(読み飛ばしてください)

最近貫井さんばっかり読んでしまう〜!!ああ〜!
私事になりますが、今月から大学生になりまして大分多忙になり、元々更新頻度の少なかったこの覚え書きもほぼ放置状態になってしまいました。
でもちゃんと好きな人は読み進めているのです。貫井作品たのし〜。

好きな人繋がりで、先週森見登美彦さん原作の映画『夜は短し歩けよ乙女』を観てきました。ちゃんと特典ももらってきました。もりみん書き下ろし……♡
ただ、公開2周目(14日〜)からまた特典変わるので、来週2回目観たら感想的なものをあげようかなと思っています。たぶん。


貫井徳郎の丁寧さとエンターテインメントの軽さの融合

はい本題です。
私が貫井作品の特徴を掴めているのかはいまいち不安ですが、『失踪症候群』には貫井さんの丁寧さが他作品と変わらずあって読みやすかったです。
ただ、サブエピソード的な描写がいつもより少ない気がしました。その分軽くさらさら読めるエンターテインメント性が足されている感じ。

事件の結末とは別の(勿論無関係ではない)ところで人間ドラマが展開されるので、事件だけがミステリ小説じゃない!という方におすすめ。

失踪した若者たちに共通点がある。その背後にあるものを燻り出すべく、警視庁人事二課の環敬吾は特殊任務チームのメンバーを招集する。私立探偵・原田征一郎、托鉢僧・武藤隆、肉体労働者・倉持真栄。三人のプロフェッショナルは、環の指令の下、警視庁が表立って動けない事件を、ときに超法規的手段を用いても解決に導く。失踪者の跡を追った末、ついにたどり着いた真実とは。悪党には必ずや鉄槌を下す―ノンストップ・エンターテインメント「症候群シリーズ」第1弾!

こういうキャラ立ちしている設定の話はどうしても読んでしまう…………原田さんかっこいいよ!


環さんに従順な3人が最高

普段は何の仕事をしているのかいまいち分からないけれど、実は秘密の特殊任務チームのリーダーの環さん。
そしてそのリーダーの指示に間違いなく応える訳アリの3人。
読みようによっては3人が環さんをある意味で盲信しているかのようなこの構図が好みすぎる……
本作は私立探偵の原田さんがメインですが、残り2巻あるということは……??


以下踏み込んだ感想。
ネタバレあります。



絶妙に気だるい日常の描写

いい〜。
具体的には吉住計志や馬橋の初登場シーンですね。
この前の記事にも書きましたけど、なんかもう、「ありそう」な日常描写が……
吉住さんの自由だけれど秘密を抱えた日々の不安定さがよく伝わってくる……
老若男女問わず人の気持ちを書くのがうまいよお……


倉持さんの第一印象が悪すぎて面白い

日野くん(子分呼ばわりされてた学生アルバイト)がちょっとかわいそう。
倉持さんが実はすごいやつだったというギャップ狙いにしてもかなり印象悪く映りました。笑 バイクの追跡シーンはかっこよかった。
武蔵さんの得体の知れなさいい……スリの技術あるところとか。残り2巻でたくさん出てきてくれればいいな。

ただこの2人の紹介をするためのエピソードなのに、主観の自分語りがリアル。
冒頭にサブエピソード少なめと書きましたが、このへんの事件と無関係な話の書き方はまさに貫井さん。


第1の黒幕馬橋さん

1番の謎を背負っているくせに馬橋さんのかませ感がすごいのは何故なんでしょう。
戸籍交換という頭脳プレーをやらかしておきながら、最後は泣きながら後悔して改心。不憫キャラ……
個人的に、馬橋さんのキャラと戸籍仲介という行為があんまり釣り合ってない感がありました。そのせいかな?


戸籍を変えてまで生きる強さは持っている

巻末の佳多山大地さんの解説にもありますが、この本の若者たちは「ひきこもり」ではなく「戸籍交換」という道を選んだ点で逞しいなあと思いました。
現実から逃げ出した先で、新しい世界をどこに求めるかという違い。
楽ではない道を通ってでも現実で生き直そうと思う彼らは、きっと愚かに逃げただけではない。


ゼックのみなさん

こっちがかませだと思ってたのにな……笑
蛇を巻き付けて威嚇してきた了さんは本当にかませでしたが。

了さんもなんか可哀想な人だなーと思いました。空気読めない所は置いといて、仲間だと思っていた人たちに金蔓扱いされていた所とか……
犯人一味にしたらウザくてしょうがなさそうなのも分かってしまうだけに、彼も不憫キャラ。
少しざまあみろと思ってしまったのは秘密。

何の警戒もせず鉢植え置かせてあげちゃったところはかわいかったです。


環さんの素性

気になる〜!!!
どういう経緯でこんなチームができたのか……創立秘話とか大好物なので……
そのうち語られると信じて、次巻読みます。笑


原田さんがいいパパ

最後、娘と仲直りできててよかったです。展開が読めててもほっとするのがハッピーエンドのいいところ。
真梨子ちゃんが警察不信になった経緯が結構細かく書いてあって、人間ドラマしてるなあと思いました。

真梨子ちゃんの入院先に訪れてくれる環さんめっちゃやさしい。


おわりに

ドラマ化してますね!!症候群シリーズ!!
『愚行録』に続く映像化の波に乾杯。

東海テレビ×WOWOW連ドラ『犯罪症候群』に玉山鉄二、谷原章介、渡部篤郎 - 映画・映像ニュース : CINRA.NET

2017年4月8日(土)から毎週土曜23:40~24:35に東海テレビ、フジテレビ系全国ネットで放送
監督:村上正典都築淳一
脚本:篠崎絵里子、谷口純一郎
原作:貫井徳郎『失踪症候群』『誘拐症候群』(双葉社
出演:
玉山鉄二
谷原章介
渡部篤郎
ほか

とのことです!やったね!

全3巻を2シーズンに分けてドラマ化するようで、この際にまた貫井作品の沼にいろんな人が落ちないかな〜と祈っております。笑
ただ2作目の『誘拐症候群』が1シーズンに含まれてるみたいなので、原作読み切るまでドラマは見ないようにしておこう……


最後までお付き合いいただきありがとうございました。


(追記)
この記事アップした直後に症候群シリーズの平積みを見つけてしまった 有頂天の文庫版も一緒にならんでいた お財布ゆるむ……